■事件
■337
■7330
7330円×10%+18万円=51万7733円 b 乙事件(原告A) 826万4199円×10%+18万円=100万6419円 c 乙事件(原告B) 91万8244円×16%=14万6919円 (オ)建築訴訟は,訴え提起から確定まで4年以上を要していること(甲3, 4 ,その間多数回の期日が) 開かれていること,地盤の瑕疵と建物の瑕疵 が争点となり,原告らは修補不可能という主張を行っていること,裁判所 の現地見分が行われていること,金員の支払を受けずに上告受理申立てを 行っていることなどの事実からすれば,建築訴訟は比較的労力を要する事 件であったと認めるのが相当であるが,報酬金の額について明示の合意を していないこと,被告が証拠の収集を原告らに任せていた点が多数見られ ること,原告らと被告の打ち合わせも期日当日に行われることが多かった ことなどの事実もあることから,報酬基準より増額すべきとまでは認めら れないというのが相当である。
(カ)そこで,甲事件については原告らが連帯して51万7733円,乙事件 については原告Aが100万6419円,原告Bが14万6919円,そ れぞれ被告に対し報酬債務を負っているというべきであり,被告の原告ら に対する報酬金についての反訴請求は,これら及びこれらに対する本件反 訴状が原告らに送達された日の翌日である平成17年11月5日から支払 済みまで民事法定利率である年5分の割合による遅延損害金の支払を求め る限度で理由がある。
(3)本件紛議調停ないし本件本訴提起が被告に対する不法行為となるか。
なると した場合の損害額はいくらか。
ア本件紛議調停での名誉毀損について (ア)紛議調停は,依頼者と弁護士間や,弁護士間で紛議が生じたときに,そ の解決に向けて行われる調停であるから,紛議調停が行われる場合には, すでに当事者間に紛議が生じていることが前提となっている。
そのような ときには,両当事者間に不満が募っているのが通常であるが,かかる不満 を表明することができないというのは不都合である。
また,紛議調停は訴 訟と異なり非公開で行われる。
したがって,紛議調停の場において,相手 に対する相当な範囲内での非難は,不法行為とならず,全く根拠を欠く非 難であれば,不法行為となることがあるというのが相当である。
(イ)本件では,認定事実のとおり,原告らは,被告について,弁護士として の品位を欠く,悪徳弁護士として社会的な排除を受けさせるなどと記載し, 非難している。
しかし,建築訴訟を担当していた弁護士は被告のみである こと,建築訴訟の結果は被告が主張・立証を適切に尽くさなかったからで あると原告らが考えるのも無理からぬこと,被告は証拠の収集を原告らに 任せることが多々あったことなどからすれば,全く根拠を欠く非難である とまではいえない。
(ウ)よって,本件紛議調停での原告らの主張は,被告に対する名誉毀損とは ならないというべきである。
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イ本件紛議調停申立ての不当性について (ア)紛議調停申立ては,申立てが全く事実的,法律的根拠を欠き,申立人が そのことを知りながら,または通常人であれば容易にそのことを知り得た といえるのにあえて申し立てたなど,申立てが紛議調停制度の趣旨目的に 照らして著しく相当性を欠くときには,相手方に対する不法行為となるこ とがあると解される。
(イ)本件では,建築訴訟第一審判決に比べて建築訴訟控訴審判決が大幅に原 告らに不利益に変更されていること,被告は原告らに証拠の収集や専門家 との意見交換を行わせ,被告自身では行わないことがあったこと,被告は 原告らと十分に打ち合わせを行っていたとまでは言い難いことなどの事情 があったことからすると,全く事実的,法律的根拠を欠いているとはいえ ず,紛議調停制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くとはいえない。
(ウ)また,紛議調停は依頼者と弁護士の紛議を円満解決することが目的であ り,必ずしも弁護士の弁護活動につき異議を述べたり損害賠償を求めたり する制度ではないから,本件確約(その有効性については後述する。
)に より,紛議調停の申立てが制限されていたとまではいえない。
(エ)よって,原告らが本件紛議調停を申し立てたことは不法行為とならない というべきである。
ウ本件本訴提起について (ア)訴えの提起は,当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係が 事実的,法律的根拠を欠くものである上,提訴者が,そのことを知りなが ら,または通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて 訴を提起したなど,訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相 当性を欠くと認められるときには,被提訴者に対する不法行為となると解 される。
(イ)そこで,本件について検討する。
本件本訴請求は,上記のとおり,いず れも理由がないものと思料するが,建築訴訟第一審判決に比べて建築訴訟 控訴審判決が大幅に原告らに不利益に変更されていること,被告は原告ら に証拠の収集や専門家との意見交換を行わせ,被告自身では行わないこと があったこと,被告は原告らと十分に打ち合わせを行っていたとまではい い難いことなどの事情があったことからすると,全く事実的,法律的根拠 を欠いているとまではいえない。
(ウ)しかしながら,本件では,原告らは,被告との間で,本件確約を合意し ている。
本件確約書(乙15,16)には,建築訴訟について「第1審, 第2審を通じて,貴殿の訴訟活動について異議を申し立てないことは勿論 今後上告或いは上告受理の申立てに関する訴訟活動並びにその結果に対 し,それが所期の目的を達することができなかった場合でも,一切異議を 申し立てず,その他いかなる請求もしないことを確約し」と記載されてい るとおり,原告らが,被告に対し,建築訴訟に関していかなる請求もしな いことを約束していることは明らかである。
したがって,本件確約により, 原告らの本件本訴請求は,法律上の根拠を欠くものとなっていたといわざ るを得ない。
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